小型底びき網漁業の先輩に聞く「それでも働く理由」


藤本卓也(フジモトタクヤ)さん
24歳 大阪府東大阪市出身 4年目

小さい頃からの夢だった、漁業を一生の仕事にしていこうという固い決意です。

まっすぐな目で語ってくれた藤本さん(4年目:24歳)。
小型底びき網漁業というハードな仕事に就き、働き続けてきている経験者に、何故「漁師」を目指し、これまで続けてこれたのかを伺いました。
「漁師」という仕事に興味があり、これから目指そうという方は、是非先輩の実際の声を聞き、それから漁師への扉を叩いてみて下さい。

インタビュー内容

Q1 仕事(小型底びき網漁業)ではどのような作業をされていますか?
今は6人チームの船に乗船しています。一番忙しい魚を揚げるときには、網の目に引っ掛かる魚を網の底に落としていく作業を担当しています。
Q2 小型底びき網漁業というのは過酷な仕事というイメージがありますが、何故そんな大変な仕事に就こうと思われたのでしょう?そのきっかけも教えてください。
佐賀で漁師をやっていた祖父の影響から釣りが好きになると同時に、この仕事を身近に感じるようになりました。高校卒業後すぐに漁業の就職先を探すつもりだったんですが、親の反対もあって建築関係の専門学校に通ったんです。でも、その間も漁師になるための資金稼ぎのアルバイトをしたり、体力作りをしたりしてチャンスをうかがっていました(笑)ここはインターネットで情報収集しているときに知りました。もともと人ごみが嫌いだったので、島根ののんびりした環境は気に入ってますね。
Q3 一日の半分以上を船の上で作業しなければならない底びき網漁の仕事のなかで、一番辛いことは?
今は問題ありませんが、この仕事に慣れるまでの間が大変でしたね!来たばっかりの頃は、想像以上の厳しさに仕事中に襲ってくる眠気と必死に戦って…(苦笑)僕の場合は、仕事を覚えて皆さんと一緒にまともに働けるようになるまで1年くらいかかりました。1年って長く感じるかも知れませんが、担当する仕事がそれぞれの船によって違うので、どうしてもそれくらいかかるんです。
Q4 ではこの仕事の楽しさは?
底びき網漁はとれる魚種も豊富で飽きないし、何と言っても船上で食べる新鮮な魚の美味しさは格別です!漁とは別に食事用の仕掛けをはっておかずを確保するんですが、特に感激したのは、大阪時代は刺身で食べるイメージのなかったカツオの刺身!世の中にこんなに美味しいものがあったなんて!って感じですよ(笑)
Q5 この仕事に就いて最も苦労したことは?
先ほども言いましたが、漁師の仕事が大変なのは覚悟していたので、来る前から体を鍛えていたんですが、いざ仕事となると想像を超える厳しさが待っていて、体が仕事に慣れるまでの期間はかなり苦労しましたね。収入面でも、自然相手なうえに季節や船によってまちまちになるのが正直厳しいです。プライベートで言えば、島根は自動車がないとどこにも行けないっていうのが不便ですね。
Q6 今まで続けてこられた原動力は何だと思いますか?
小さい頃からの夢だった、漁業を一生の仕事にしていこうという固い決意です。
Q7 将来の夢は?
独立して漁業を続けること。そういう計画もあって夏場などは別の漁にも挑戦したりと、いろいろな勉強をしているところなんです。
Q8 底びき網漁業への就職を希望される方へ向けてアドバイスをお願いします。
まず断言できるのは、「自然が好きなんです」みたいな人や、「わざわざ田舎に来てやったんだ」みたいな人間にはこの仕事は無理ということ。僕みたいに漁業に強い憧れがあったり、それでもやってみたい!という熱い思いを抱いている人へアドバイスするとすれば、仕事をやっていく中で必ず経験する体力的、精神的な限界の“山場”の克服が重要ということ!それと、何事にも自分から率先していろいろと挑戦できる自主性も大切でしょう。ハードな底びき網漁の現場では、チームワークも重要だし、やる気のない人間には、誰も手をさしのべてはくれません。とにかく、かなり根性の要る仕事だという事を覚悟して欲しいですね。